2019第2回研究授業

2019.12.26


11月20日(水)に第2回研究授業および研究会を行いました。

今回の研究授業は、高校1年6組で政経の授業を通して以下のようなテーマで知識構成型ジグソー法を実践しました。

 

1 授業のねらい
すぐに「社会的弱者への配慮が足りない」と炎上するネット社会と、一方で蔓延する社会的弱者への自己責任論のはざまで、現代の高校生には周囲に流されることのない、確かな人権意識をはぐくむことが重要である。日本国憲法には基本的人権が規定されている。制定から70年以上がたち、社会の変化によって、新たに基本的人権として主張される「新しい人権」を生徒たちと学習してきた。本時では、一般的な同性婚への反対論と、現代社会における「自己責任論の是非」、「他者への寛容性」といった観点から、同性婚を法的に認めるべきかを議論する。この活動を通して、各個人が、あるべき国家像、人権像を、高校生なりに見出すことが目標である。
2 メインの課題
同性婚は法的に認めるべきだろうか?

~多様性はどのように受容するべきか~

3 生徒の既存知識・学習の予想
同性婚は現在、世界27の国と地域で、認められている。この権利については未修なので、憲法13条の幸福追求権や、24条の「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」などと絡めて、同性婚の可否を述べることはできるであろうと考えられる。少なくとも、可否については全員述べることはできるであろう。「幸福追求権に当たるので、認めるべきだ」「少子高齢化が進むので、認めるべきではない。」など。
4 期待する解答の要素
「け」 現代の日本で人権意識が高まったのは、「他者には干渉しない」という発想に基づいた、他者への寛容性がはぐくまれたからである。しかしそれは逆に迷惑を忌む不寛容性へとつながった。「自分には関係ないからいいんじゃないの」といった消極的な賛成は危険である。

「ん」 自己責任を問うのならば、その人に選択の余地がある場合に限られるべきであり、本人にとっての不可抗力の要因による結果については問うべきではない。また、自己責任論は、社会的弱者を守る責任(義務)の放棄である。

「り」 そもそも婚姻制度は、次世代の子供世代の利益を確保するという意義を持つため、同性婚はその本義からずれてしまう。

☆上記の概念を踏まえて、同性婚という社会的な問題に対して、それぞれの生徒が政治的スタンスを形成することが、今回の授業の目標である。

 

今回の授業は、高校1年生を対象に同性婚という社会的な問題に対して、それぞれの生徒が政治的スタンスを形成することが、その目標でした。一般的な同性婚への反対論と、現代社会における「自己責任論の是非」、「他者への寛容性」といった観点から、同性婚を法的に認めるべきかを議論して、その活動を通して、各個人が、あるべき国家像、人権像を、高校生なりに見出すことが主要なテーマとなっていました。

授業終了後は、講師としてお招きした信州大学の伏木久始先生より、今回の授業に関連して「高大接続改革を見据えた中高の教育内容のあり方」をテーマに講演をしていただきました。知識構成型ジグソー法を基軸にしつつ、高大接続改革やその後の新学習指導要領を確かな形で見据えながら、これからも研究実践を積み上げていきたいと思います。




一覧へ戻る