2026.10.03

すみれの花のように 人のゆかしさ 人のやさしさを たたえるような生徒を育成する
本校の理念から名前を借りた特集「ゆかしいひと。」第二回は、栃木の体育館の、17-15で終わった一戦の話です。
第31回全国私立高等学校選抜バドミントン大会(8月25日〜28日、栃木県・日環アリーナ栃木ほか)女子の部で、本校バドミントン部が準優勝しました。出場は全国の私立高校48校。予選リーグを1位で通過し、決勝トーナメントで奈良大附属、聖心ウルスラ、淑徳巣鴨、作新学院を破り、決勝で青森山田に1-3で敗れました。

コートに立ったのは5人。2年の前田未和さん、実原凜奈さん、藤田心麦さん、山﨑琳子さん、そして1年の篠原美結さんです。
「48位まで順位が決まる大会なんです。48位にだけはならないようにしようね、って言ってたら、気づいたら決勝でした」(山﨑さん)
団体戦とは
高校の団体戦は、ダブルス2試合とシングルス3試合の計5試合で争う。先に3勝したチームの勝ちだ。この大会は15点3ゲーム制で、2ゲーム先取で1勝になる。
この大会では、初回戦から複数のコートで並行して試合を行うことがある。そして、どちらかが3勝した時点で対戦は終了する。隣のコートで勝敗が決まれば、続いている試合はそこで「打切」になる。勝っていても、負けていても、終わる。
準決勝、作新学院戦。
第1ダブルスの前田・実原組が、11-15、16-14、15-13。1ゲームを落としてから2ゲームを取り返し、まず1勝。
第2ダブルスの藤田・山﨑組は、第1ゲームを13-15で落としていた。
「相手は第2シングルスと第3シングルスがすごく強くて。ここを私たちが取られたら、後ろで絶対に取れない状況でした。だから、取るのが難しい状況でもしっかり取り切るぞ、という気持ちで。2人で協力してできたのが印象に残っています」(山﨑さん)

第2ゲーム、15-13。第3ゲーム、17-15。
「ダブルスで2-0にできたら、後ろのシングルスに流れをつなげられる。逆にここで取られて流れが悪くなったら、結構きついなというところで。緊張感と、これを取れば決勝だっていう嬉しさと、いろんな気持ちが混ざった試合でした」(藤田さん)

第1シングルスの篠原さんが15-10、15-6で取り、3-0。スコアだけ見れば完勝である。中身は違った。ダブルス2試合6ゲームのうち、5ゲームが2点差だった。
決勝までの道

初日の予選リーグを1位で抜け、決勝トーナメント1回戦で奈良大附属に3-0、2回戦で聖心ウルスラに3-0。
山場は準々決勝、淑徳巣鴨戦だった。
第1ダブルスの前田・実原組は、昨年の全日本ジュニアでベスト8に入り、この夏の県総体でも県予選でも優勝しているペアである。チームの一番手だ。その2人が、6-15、15-9、5-15で落とした。
0-1。ここから藤田・山﨑組が15-12、15-13、篠原さんが15-6、15-9で取り返して2-1。第2シングルスは実原さんが11-15、20-21。1点差で落として、2-2。最後の第3シングルス、藤田さんが15-7、15-8で取り、3-2。
エースが2つ落としても、残りで3つ取る。準優勝の中身は、そういうチームだった。
そして決勝。相手の青森山田は、今年の全国選抜大会とインターハイでともに全国3位の学校である。
第1ダブルスは13-15、15-12、10-15で落とした。第2ダブルスも11-15、17-19。第1シングルスを篠原さんが15-12、15-10で取り、1-2。第2シングルスを落として、1-3。

「決勝なので、この大会で一番強い相手とラリーをして。点数的にはシーソーみたいな感じで、最後取り切れなかったのが悔しくて。そのあと第2シングルスで自分が入ったんですけど、それもいまいち戦えなくて。悔しかったのが印象に残っています」(前田さん)
第2シングルスと同時に進んでいた第3シングルスは、実原さんが第1ゲームを15-10で取り、第2ゲーム17-16。ここで隣のコートが終わり、試合は打ち切られた。記録には残らない。
「小学校のときに3回くらいやって、全然勝てなかった相手でした。先に負けちゃった展開で終わっちゃったんですけど、大差にならなくて、勝ち切れそうだった。自分の成長を感じました」(実原さん)
篠原さんは、1回戦から決勝までの5試合、第1シングルスをすべて2-0で取った。1年生である。
「どの試合も、自分より体が大きかったり、年上の相手とやることが多くて。チームがきつい状態のときに入るのはすごく緊張したし、決勝もちょっと危なかったんですけど、全部勝てたので良かったです」
「第1シングルスなので、先輩たちが試合をしているところを見てから入ります。頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうって、気持ちが入ります」(篠原さん)
インターハイの、ひと月あと

「インターハイの悔しさを」と、何人かが口にした。
一か月前、和歌山。学校対抗は初戦で京都明徳に2-3。篠原さんと藤田さんのシングルスは取ったが、あとの3試合を落とした。
個人戦では、前田さんがシングルスで大分西、作新学院、県岐阜商の選手を連破し、4回戦で柳井商工・柳井の選手に0-2。全国ベスト16である。前田・実原組はダブルス3回戦で、佐賀女子のペアに敗れた。
全国で16番目まで残った大会を、彼女たちは「悔しい」と呼ぶ。見ている場所が、違うのだ。
「インターハイから帰ってきて、須賀先生の気合が違いました」
「今回はもう、ぼろ負けにならなきゃいいや、と思って来たんです。気づいたら、自分たちでもびっくりするぐらい結果が出ていて。自分ごとというより、第三者みたいに、すごいなって」(前田さん)
普段
試合の前に何をするか訊くと、答えはばらばらだった。
「本番はめっちゃ緊張するタイプで、足が動かなくなったり、頭が真っ白になったりするので。アップでとにかく動いて体を温めて、頭を働かせるためにブドウ糖を取る。ラムネを、毎試合前に食べています」(前田さん)

「大会の前日にトイレ掃除をしたり、お皿を洗ったり」(山﨑さん)
上下関係を訊くと、そろって首を振った。

「絶対に敬語、というわけでもなくて。ちょっと接しづらいじゃないですか。だいたいみんな、小学生からずっと知っている先輩なので」(篠原さん)
決まりごとは、ひとつだけあった。
「コートの中では絶対に勝ちに行く。でも、それを外に持ち出さない。部内戦のあとにイライラしない、みたいな。ちょっと大人になろうよ、って」
前田・実原組と藤田・山﨑組は、6月の県総体でも、8月の全日本ジュニア県予選でも、決勝で当たっている。優勝は2回とも前田・実原組。ただし2回とも、ファイナルゲームまでもつれた。
ライバルは、ペアの間だけではない。1年生の篠原さんの言葉がある。
「先輩全員、やっつけます」


2年生の返事は、短かった。
「負けらんない」
次
取材は、全日本ジュニアの一週間前だった。9月19日から23日、群馬県で開かれる第45回全日本ジュニアバドミントン選手権大会(JOCジュニアオリンピックカップ)に、前田・実原組がダブルスで、前田さんと篠原さんがシングルスで出場することが決まっていた。
前田・実原組の昨年のベスト8は、準々決勝で埼玉栄のペアに敗れてのものだった。第2ゲームは24-26。
「ダブルスは、ベスト4を目指しています」
結果が出た。
前田・実原組は、2回戦でふたば未来学園中のペアに15-11、10-15、15-12。3回戦で佐賀女子のペアに15-7、15-13。準々決勝で柳井商工・柳井のペアに10-15、10-15。この大会には3位決定戦がなく、準々決勝で敗れた4組はそろって5位と記録される。2年連続のベスト8、全国5位である。相手は、この大会の女子シングルスで優勝した選手と、3位に入った選手が組むペアだった。
前田さんはシングルスでも準々決勝まで進んだ。4回戦の相手は、ジュニアナショナルチーム(U17日本代表)に入っている名経大市邨の選手である。第1ゲームを8-15で落としてから、15-13、15-12で逆転した。日本代表にも勝ったのだ。準々決勝は青森山田中の選手に9-15、9-15。この選手も同じU17日本代表で、この大会で3位に入っている。名実ともに日本のトップを争ったということだ。そして、全国5位。

ベスト4には、届かなかった。それでも、二年連続の5位だ。しかも今年はシングルスも。
チームの次は、12月の県新人大会から始まる、3月の全国高校選抜大会への予選である。
「チームでは選抜大会の出場権を獲得して、北信越で優勝して、全国で自分がチームに貢献できるように頑張ります」(実原さん)
最後に、1年生が言った。
「ライバルも先輩も強い中で、先輩全員に勝って選抜に出ること。今回の結果に満足せずに、もっと上を目指して、また全国大会で結果を出すことです」(篠原さん)

文責 広報部